« 前原よ、言いたい事を言え | メイン | 中国の会計ソフト事情2006 »
2006年01月18日
中国の会計事情2006
久しぶりに、本業であるIT関係の話しをします。私は今、上海にある某日系企業でシステム導入の為のコンサルを行なっていますが、 中国の会計ソフト事情を大分勉強しましたのでご紹介します。これから中国で駐在する総経理や会計担当者、 中国の日系企業へシステム導入される方の参考にして頂ければ幸いです。
いきなり言い訳になりますが、私のSEとしての得意分野は受発注在庫管理で、財務・会計分野は得意ではありません。ですので、 以下の内容はそれを前提にしてお読み下さい。
最初は、会計事情そのものについてお話します。
●中国の企業は、中国の会計基準に則った帳簿付け、帳票、財務諸表を作成・管理しなければなりません。帳簿付けや入出金の処理は、 中国政府発行の資格を持った会計係と出納係が行なう事が義務付けられています。 月末の財務諸表は、翌月の10日(まで)に、その地区の財政局(と国税・地方税の税務署) へ提出しなければなりません。一度提出された財務諸表を変更するのはかなり難しいと聞いています。
●中国内で販売を行なうと、増値税(17%) を税務署へ支払支払わなければなりません。この税金を漏れなく集める為(かどうかは判りませんが)、 増値税發票という伝票を発行します。この正式な請求書は、小規模なお店では、 政府が印刷したものを予め購入して使用します。中・大規模の店では、私製の領収書に政府承認のハンコを押して使用します。 企業が発行する請求書は、その地区の財政局が承認した専用ソフト(普通は1社独占状態) を用いて発行し、 1か月分の情報を専用ICカードに納めて、 翌月の10日までに税務署(国税)へ提出します。未確認情報ですが、専用ソフトで発行する増値税發票は、 発行した日付が印刷され、先月売り上げを翌月にバックデートで発行したり、当月売り上げを意図的に翌月日付にしたりという事はできません。 パソコンの日付でなく、ICカード内の時計機能を参照しているという噂です。
●税務署へのレポート提出期限(毎月10日だが、役所が休日の時は直近の翌営業日)に遅れると、1日2000元の罰金を支払い、税務署へ始末書を提出するまで、次の増値税發票を受け付けてもらえなくなるそうです。
●税務署へのレポート提出は、上記のICカードだけでなく、その他の財務諸表も含まれます。 江蘇省蘇州市呉中経済開発区の日系企業で聞いた話しでは、国税、地方税のレポートは、 毎月10日までにこの地区の税務署が用意したウェブサイトへ(手で)入力し、更に印刷したレポートを税務署の窓口へ提出します。提出する情報のうち、国税と地方税で項目が分かれます。 詳細は下記を参照ください。
- 増値税(国税) *専用ソフトの増値税情報は専用ICカードでも提出する
- 営業税(地方税)
- 付加税(地方税) *道路・運河整備や教育整備などの特定財源
- 貸借対照表(国税、地方税)
- 損益計算書(国税、地方税)
- 發票領収書(国税)
- 増値税清単(国税)
- 個調税申報(地方税)
- 運費申報(地方税)
- 所得税申報表(国税)
- 印紙税(地方税)
●勘定科目の大枠(コード体系)は中国会計基準で決められていて、 これを逸脱する事はできません。これは、財政局や税務署へ提出する財務帳票の解像度により規定されていると推測しています。 ものすごく簡単に経理をやろうとすれば、文具店で売られている(大枠の勘定科目そのままの) 勘定科目のハンコを買ってきてそのまま使用するという事もできます。しかし、それでは利益や経費の分析ができません。普通は、各企業の業態 (販社、製造業、サービス業)に応じて、大枠で決まっている勘定科目の後ろに枝番を付けて、 科目の細分化を行ないます。
●国税、地方税の税務署は、組織としては財政局の傘下にあるという事ですが、窓口のある建物は分かれている事が多いようです。 財政局の組織は、下記のような階層構造になっているようです。各企業が付き合うのは、会社が所属する区(鎮)の財政局です。
中華人民共和国財政部 - 市の財政局 - 区の財政局 (または鎮の財政部)
●財政部(国)から下部組織(市-区)へのルール変更や追加などの告知は、一般的な内容で具体性を欠く事が多いと推測されます。 同じ内容の告知を受け取っても、それを具現化する実施手段は、各市、 各区で異なる事が往々にしてあります。
●上海市内にある某日系販社(買ったものに利益を乗せて売る販売会社)では、仕入れ業者から増値税發票が届くまで、 出荷した商品の増値税發票を発行しない(買い掛け、売り掛けとして計上しない)方法をとっていましたが、近年の中国会計基準では、 これは必ずしも推奨される方法ではないそうです。より推奨される方法としては、仕入れ業者から受け取るであろう購買側の金額(増値税發票の推定額)を当月で仮計上して、 出荷した商品の増値税發票はそのまま客先へ発行します。また、出荷済みの商品の検収を当月に得られない場合には、 それらの商品の売り上げ金額は当月分の増値税發票として発行して当月売り上げとして仮計上するが、 客先へは渡さずに社内で保持し、検収後に客先へ渡す方法が推奨されるやり方だそうです。(発生主義に近づいている)
●仮計上した金額が実際の請求額と異なる場合には、変更を行う月の伝票で差額の赤伝票、黒伝票を作成して調整します。
●上記の増値税發票、売り買いに関わる処理の手順は原則として国内での購買/販売に関するもので、 輸出の場合にはInvoiceまたはB/Lの日付等によって購買金額、売り上げ金額の計上を行います。
●海外から仕入れた部材で製造を行なって、再び海外へ輸出する場合には、輸入税を免税にして部材の調達を行なう事ができます。この免税で部材の輸入と消費を管理している書類は、 華東では手冊、華南では生産合同書という名前で呼ばれています。
●華南の生産合同書の運用は非常に厳格なようで、製造時の消耗率まで規定されており、 不良率が想定外に多い場合には部材の不足を来たして、別の生産合同書から借りてくる事になります。不良率が少ないと部材が余りますが、 それを使って余計に製品を作ると、規定数量以上に製品を輸出する事になり、部材の入りと製品の出の辻褄が合わなくなってしまいます。 辻褄が合わなくなると、税関による検査時に露見して、多額の罰金を払う事になります。
●華東の手冊は、華南の生産合同書よりは柔軟な運用がされているようですが、これも部材の輸入数と製品の輸出数の管理はきちんと行なう必要があります。
●貿易会社が、海外から輸入した部材や商品を、輸入税を支払わずにお客へ販売する方法として、 免税倉庫渡しという方法が認められている場所があります。上海浦東の外高橋保税区倉庫や、深圳の福田などはその一例です。この場合は、 免税倉庫内で受け取ったお客側が輸入税を支払います。
●上記とは逆に、国内で生産した商品を外国へ輸出せず販売して、しかも相手側が輸入扱いで購入する方法として、 上海東浦外高橋の物流園区の倉庫渡しという方法があるようです。物流園区を利用できる企業は、この園区で登記された企業と、 外国の企業との事です。
●中国の会計基準については、出版された本を中国の本屋で購入できます。年々、国際会計基準に近づけているという話しも聞いています。
【中国の会計ソフト事情2006へ】
(*)2006年1月に調査した上記記載内容に誤記、誤認がありましたら、 コメント欄にてご指摘頂けましたら幸いです。それ以外にも、誤りに気づいた場合には筆者の判断で本文を随時更新致します。
投稿者 bobby : 2006年01月18日 13:58
Trackback Pings
このエントリーのトラックバックURL:
http://blue.hkisl.net/cgi-bin/blog/mt-tb.cgi/235
コメント
中国式会計の目的は「税務」になり、会計担当者のボスは税務署になります。
:総経理(社長)の命令を聞かない事が多々あります
但し、中国の企業会計準則は日本以上に国際会計に近くなっています
現実には、現場レベルでは、昔の「ソビエト共産主義」会計で処理をしています
:税金を多く支払う「総経理・会計責任者」が偉い!
投稿者 鈴木 文人 : 2006年10月27日 15:24
最近集めた話題をいくつか補足します。
1)前受け金と売り掛け金の区別をきちんとしていない。特に、契約額の一部を前受け金として受け取り、出荷後に残金を受け取るようなケースで多い。
2)売掛金のOver Due管理(支払期限が過ぎた債権)という考え方が希釈。
3)買掛金の支払期限という考え方が希釈で、督促が来るまで支払わない事をえらい事だと考えている会計担当者がいかに多い事だろうか。
4)会社毎に支払い条件を設定するという考え方が希釈。同じ顧客でありながら、何種類も支払条件を設けているケースがある。
上記は、中国製の会計ソフトを見れば良くわかると思います。
投稿者 bobby : 2006年10月28日 12:46